昨年の七月、八洲が逝ってからいつしか半年程も過ぎてしまったのに、いまだに”死んだ”という実感がなく、今夕にも旅から帰ってくるような気がしてなりません。
この本は一九八六年、八洲が脳梗塞で倒れてから四年余り、関西の月刊誌に書いた「私の博物誌」というエッセイの中から、”旅と花”を取り上げてまとめていただいたものです。
東峰書房の高橋社長から出版のお話をいただいて、数年がたつてしまいましたが、野人の旅がらすに過ぎた立派な衣装を着せていただいて、ありがとうございました。
また、上梓にあたり、深田三郎氏には一方ならぬお世話になり、厚く御礼申し上げます。
一九九八年三月
加藤 恵子